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WEEKEND WORKSHOP vol.14 三代広人


今年度最後のWEEKEND WORKSHOPは初登場の三代広人さんに講師を努めてもらいました。来年度も週末の町中でアートを体験できるWEEKEND WORKSHOPを継続して開催して行きますのでよろしくお願いします。

KASHIMA2010 vol.4幸田千依 滞在成果展『もっと色々よくみたい』開催中


滞在成果展『もっと色々よくみたい』は3月5日から3月27日まで開催しています。
オープニングトークでは、今回の展示や作品のこと、制作中のエピソードなどを聴かせていただきました。滞在制作の作品タイトルは、「スケッチ オブ コントラスト」です。「絵は目で見るしかないから、絵を描くときは色々とよく見ないといけない。目で見て目で分かるということを表現していきたい」と・・・。

オープニングトーク詳細はコチラ
今回、platform02で制作中、総勢170人の人が中に入ってきたとのこと。
「ここに訪れる人々が、ここで作品を見て終わるのではなく、ここで作品を見て思ったこと考えたことなど、思いを持ち帰っていることが嬉しかった」と感想をいただきました。

開催から2週間が経ちました。福岡、大阪、東京など遠方からも足を運んでいただいています。
展覧会もあと1週間です。
どうぞ、この機会に別府のまちで、アートを楽しんでください。

安達

幸田千依 滞在成果展オープニングトーク レポート

KASHIMA2010 vol.4
幸田千依 滞在成果展オープニングトーク レポート
日時:2011年3月5日(土)15:00~
会場:platform02                          

アーティストの幸田千依さんを招き、滞在成果展『もっと色々よくみたい』オープニングトークを開催し、今回の展示や作品について、どのようなことを意識して描いていたのか、また、別府で滞在制作を行っていた際の住民との交流といった制作に対する彼女自身の考え方と制作についてお話していただきました。

■展示タイトルについて
絵は目で見るしかないから、絵を描くときは色々とよく見ないといけないと思っています。目で見て目で分かるということを表現していきたいと思って今回の展示タイトルも「もっと色々よくみたい」としました。見る人にも目を使ってもらえるような絵を描きたいなと思いました。

■作品制作で思っていたこと/各作品について
「代々木・相関図・インターネット」以外の作品は全て新作です。
「スケッチ オブ コントラスト」だけが、2月1日に別府に来てから描きはじめた絵です。あとは、東京で描いてきました。描いた作品を集めたというより、今回の展示やこの場所で何をするかということを考えて制作した作品です。

普段私は、東京でプールの監視員のバイトをして、プールを上の方から見ています。この経験がプールの絵を描き出したことに関係しています。プールでは、人々の持つ複雑なエネルギーが、とてもシンプルに見える。それは、服を着ていないことや、プールを往復するという単純な行為のためだと思います。人の行為や存在をシンプルに見えます。この視点を皆に見てほしいという気持ちもあって。
視点を動かす、色んな方角や高さ、距離から人を見ていくことで、人がよく分かるのではないかなと思っています。

「スケッチ オブ コントラスト」は、想像上の視点から描いています。実際には同時同風景でみることはできないものを視覚化した作品です。


■別府国際観光港2階のアトリエでの制作
2月1日からは観光港で描いていました。
毎日少しずつその日の感じで描いていくから、最初からこのような作品になると考えて描いた訳ではなかったです。

「スケッチ オブ コントラスト」は、左側から描いていきました。最初はプールの絵を描こうとしていたんですが、だんだんと後半になるにつれて、別府の景色を描いていっています。それら1つ1つに個人的なエピソードがあります。例えば、別府に到着して2日目に松原町で火事があって、湯けむりを見るよりも先に火事の煙をみてしまったことや、清島アパートの大家さんと再会をしたことなど。そういった別府で起こったことが、制作に影響してきています。

■platform02での制作
2月18日からはplatform02で制作しました。
ガラス張りなので、ぱっと後ろを振り返ると誰かと目が合ってしまう。まるで動物園の中の動物のような感じでした。さすがに1日目は気になって、あまり振り返らないようにしていました。2日目からは見られることに慣れてきて、最後の方は「これはパフォーマンスとしてやっているな」という気持ちになってきました。

ガラス越しに見えるということは。とてもいい効果を生んでいました。
遠巻きにしか見られないけれど、テレビを見ている様な感じで、たくさんの人が見ていました。例えば、「ご自由にお入り下さい」と書いていたとしたら、たぶん人はもっと入ってきたと思うんですけど、ひやかしも沢山来ていただろうと思います。そういった意味でも距離感がとても良かったです。見ている人が入りたいと思わないと入れない。私はそのような人たちとしか出会えないけれど、それが日常とは違う場所のような気がして。制作を第一として来ている私にとってはいい環境でした。

■作品のタイトルについて
タイトルは「スケッチ オブ コントラスト」platform02で制作している時にタイトルをつけました。
一枚のこんな大きな絵をじっくり描くということは、これまであまりありませんでした。

「代々木・相関図・インターネット」は、違う現実を描いて同じ世界にする、「スケッチ オブ コントラスト」は、同じ世界の絵を描いて違いを描く、同じ世界で違いを描くというイメージです。

アクリル絵の具と油絵の具は、同じ黄色だとしても色も質感も違う。色んな質感と色んな色を描きわけることで、1枚の絵を完成させるということを考えて描きました。なので、1枚の絵を描くときに、他とあわせるのではなく、隣との違いを付けることに注意を向けました。だから、作品のタイトルにも「コントラスト」という言葉を使いました。
platform02で別府の人とコミュニケーションをとっていると、「この世界は本当にコントラストだ」と思いました。この絵では最終的に、多様性や同じ場所だけど描き分けるということをやることになりました。

「スケッチ オブ コントラスト」は、近いところに視点、焦点を合わせながらも、俯瞰して全体を見るような感じで、視点が動きながら描いています。「もっと色々よくみたい」という展覧会タイトルの通り、よく見るということを意識して描いたので、そういう意味では、よく描けた作品だと思っています。

■制作中のエピソードについて
 platform02で制作中、総勢170人の人が中に入ってきました。また、差し入れも沢山いただきました。
 ここに訪れる人々が、ここで作品を見て終わるのではなく、ここで作品を見て思ったこと考えたことなど、思いを持ち帰っていることが嬉しかった。

差し入れランキング
1位 パン
2位 缶コーヒー
3位 お弁当 全て山本さんの差し入れ
4位 栄養ドリンク
手作りサンドイッチ、桜餅、お茶、チョコレートetc...

どんなことでも人ががんばっているという姿に人は感動する。特別なことをしなくとも、こうやって絵を描いている姿を見せて行くということをすればいいのかなと思いました。
ガラス越しくらいの距離感で。いろんな場所でやってみたいと思いました。見に来る人の感じも違うだろうし、色んな経験ができるのではないかなと、今回の別府での滞在を通して感じました。

■代表 山出とのクロストーク
山出>新作との違いは

幸田>「代々木」作品は、油絵を水彩のように描いた。油を多く使って。
最近は、人は人として描きたいと思っている。人の質量がほしくて、描き方が変わった。水と人を区別するということで、このような描き方に変化が生まれた。

山出>今回も見方、見るということにこだわりがありますが、かなり視点が変化していますね。この辺はすごく、コラージュ的な感じで描いているという幸田さんもおっしゃっていますが。

幸田>そうですね。実際見たら、変な感じがしますよね。色んな視点や人を複合させたかったんです。それを自然にみせたかった。近くで見るとそれだけしか見えない。遠く離れてみると全体の印象しか見られない。

山出>絵を描くということにこだわりはあるんですよね?
幸田>絵を描くことしかしていなくて、それ以外のことは考えたことがなくて、それだけを考えています。

山出>今後の構想はありますか?

幸田>これから考えようと思っています。今回がある意味で節目なんです。混浴から2年というのが、私にとっても節目だなと思う。別府から始まったと言っても過言ではないくらい。それ以降、活動の幅も広がっていったし、滞在制作を行って来たのも、混浴以降だし。今後のことは、これから考えたい。まだ分からない。まだ描いている気持ちでいるので。

山出>今回、制作に取りかかる時から見ていましたが、当初は、本当に1ヶ月でできるんだろうかと思っていました。制作を場所を移動したりとか、幸田さんに不自由をしいてしまったりもあったので。でも、先程のお話では、それも切り替えで使っていただけたということを聞いて、少しはほっとしています。よくこの環境とこの期間の中で描き上げたなと、すごく驚いていますし、本当に良かったと思っています。

[質疑応答]
Q.>実際に対象を見ながらではなく、見た印象をどのように留め、描いているのか?その苦労やこつについて・・・

幸田>私の場合は、山や木を絵にすることのほうが難しい。写真を見て描くとそれは絵にならない。なんでも絵にできる訳ではない。描くということはよく見るということだということを、最近本当に実感しました。
その時の印象を描こうとすれば、それを実際見たものとは違うかもしれないけれど、その感覚に近づくことの方が大事だと思っています。最近インプットはうまくできるようになったけれど、まだアウトプットはうまく行かないので、これからもっとがんばりたいと思います。