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[ALTERNATIVE-STATE] 第2弾|マイケル・リンの新作『温泉花束 (Onsenbouquet)』を設置

BEPPU PROJECT | 2023.2.22

 

混浴温泉世界実行委員会 (大分県別府市) は、半年ごとに1組のアーティストを別府市に招聘し、4年間で8つの作品を制作する『ALTERNATIVE-STATE』(読み:オルタナティブ・ステート) を2022年10月に開始しました。

第2作目となる今回は、台北とブリュッセルを拠点に国際的に活動するアーティスト、マイケル・リンを招聘し、ブルーバード会館 (大分県別府市) の西側壁面に大型の壁画を制作します。その壁画の図案などを用いた11種類のポスターを制作し、中心市街地の壁面等に設置するほか、近隣店舗や市民にも広く配布します。

マイケル・リンは、人々の暮らしに根ざす柄や模様をモチーフに、鑑賞者をもその一部にしてしまうような巨大な絵画を公共空間に生み出す手法で知られています。2009年に別府で開催された別府現代芸術フェスティバル『混浴温泉世界』の招へい作家でもあり、当時制作した作品は今でも市内で見ることができます。14年ぶりに彼が別府市で展開する本プロジェクトでは、市内をリサーチするなかでインスピレーションを得た浴衣とタイルの柄が、さまざまな形で市内各所の公共空間から私的な空間にまで広がっていきます。

『ALTERNATIVE-STATE』は、大分県別府市がいつ訪れても街とアートを楽しめる場所としてさらに魅力が高まることを目指しています。なおこの事業は、きたる別府市制100周年に向けた記念事業としても位置付けられています。

 


【開催概要】

事業名称:[ALTERNATIVE-STATE #1] Onsenbouquet

アーティスト:マイケル・リン

作品名:温泉花束 (読み:おんせんぶーけ)(Onsenbouquet)

設置場所:ブルーバード会館西側壁面、井上デンキセンター新宮通り側壁面ほか

展示開始日:2023年3月20日(月) ※16日(木) より変更になりました

料金:無料

Webサイト:https://alternative-state.com

主催:混浴温泉世界実行委員会

ディレクター:山出淳也 (Yamaide Art Office株式会社 代表取締役)

 


 

【プロジェクトについて】

1. 壁画プロジェクト

浴衣の花柄をモチーフにした大型壁画を地元の若手アーティストや学生らとともに制作し、歴史ある映画館『別府ブルーバード劇場』を備える『ブルーバード会館』の西側壁面に設置します。

設置場所:ブルーバード会館 (別府市北浜1-2-12) 西側壁面

完成予定日:2023年3月25日(土)

 

2. ポスタープロジェクト

中心市街地のある壁面を、浴衣とタイルの柄を用いた11種類のポスターで埋め尽くします。展示会場の1つとして、個人宅を公募によって選定するほか、市内の店舗や市民にも同じデザインのポスターを配布します。

公募期間:2023年2月22日(水)~3月1日(水) ※応募条件等詳しくはWebサイトでご確認ください。

設置場所:井上デンキセンター (大分県別府市元町4-13) 新宮通り側壁面、公募で選ばれた個人宅ほか

完成予定日:2023年3月20日(月) ※16日(木) より変更になりました

 

[市民への配布]

配布場所:TRANSIT (別府市末広町1-3レンガホール1階)、別府市役所 (別府市上野口町1-15) ほか

配布開始予定日:2023年3月20日(月) ※16日(木) より変更になりました ※なくなり次第終了

配布対象者:別府市在住者あるいは同市にゆかりがあり、配布場所へのお越しが可能な方

 




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 作品の一部

 

 

【アーティストについて】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Photo by Julia Bahlsen

 

マイケル・リン / Michael Lin

台北とブリュッセルで活動するアーティスト。絵画を、鑑賞するためのオブジェではなく空間として捉え、公共空間を再概念化する巨大な絵画インスタレーションを展開しています。テキスタイルのパターンやデザインを用いた彼の作品は、オークランド・トリエンナーレ (ニュージーランド、2013) やカリフォルニア・パシフィック・トリエンナーレ (アメリカ合衆国、2013)、マニラ現代美術デイン美術館 (フィリピン、2016)、ヴィクトリア国立美術館 (オーストラリア、2017)、台北市立美術館 (台湾、2019)、トロント現代美術館 (カナダ、2020)、フメックス美術館 (メキシコ2020)、最近ではニューヨークのメトロポリタン美術館 (アメリカ合衆国、2022) といった、世界中の主要な美術館や国際的な芸術祭で展示されてきました。公立美術館などの建築物を変容させる彼の型破りな絵画は、空間に対する認識を再考させます。また、来場者を作品の一部としていざなうことによって、その空間は相互作用や出会い、再創造の可能性を持った場所としての意味を持ち始めます。

                                        

[アーティスト・コメント]

このプロジェクトは、別府の街なかで日常的に目にする浴衣とタイルの柄を用い、さまざまな環境や組み合わせによって展開します。本作を通じて人々が公共空間におけるアートのあり方を考え、それを能動的に創造するプロセスが生まれることを願っています。

パッチワークやコラージュのように、浴衣やタイルの柄を好きなように並べたり異なる柄同士を組み合わせたりすることで、新しい意味を生み出します。浴衣は身体を、タイルは浴室や建築を包む役割を持っています。また、観光客の多くが温泉を目当てに訪れる別府では、レジャーの象徴でもあります。別府では湯上がりに浴衣姿で散策したり、おしゃれな浴衣をレンタルしてまち歩きを楽しんだりする観光客をよく見かけます。浴衣は綿でできており、柔らかく、多孔質で、身体を優美に飾ります。一方でタイルは硬く、不浸透性で、空間の境界が明確なものです。浴衣の伝統的な花柄とタイルのモダンな幾何学模様は、歴史的な観光地である別府が時代の流れとともに変化したことを思い起こさせます。

このプロジェクトでは、それらの柄をポスターと壁画に展開します。さまざまなスケールや媒体となって、街なかのアクセスしやすい場所に設置します。最大の要素は、ブルーバード会館に設置する壁画です。駅から遮るものなく鑑賞できるよう、西向きの壁に設置することに決めました。壁面のサイズに合わせて拡大した色とりどりの桜や梅のモチーフが壁一面を覆うこの作品は、街の輪郭の一部となるでしょう。また、この壁画は、戦後間もなく映画館となったこの場所に、かつて手描きの映画看板があったことを想起させます。それとは少し意味合いは異なるけれど、この壁画は公共のモニュメント、ランドマーク、あるいは街のシンボルとして注目を集めるでしょう。

ポスターは全部で11種類制作します。ポスターの絵柄は、ブルーバード会館の壁画と同じ図案を6分割にしたものです。さらに、3種類のタイルの柄と、そのうち2枚を鏡写しにしたバージョンの計5種類があります。複数のポスターを自在に組み合わせることで独自の柄を構成することができるので、表現は無限大です。

このポスターを、市民を対象に配布します。しかし、1人が全ての柄を手に入れることはできません。ポスターは人の手に渡った後、額装して飾られたり、イベントの告知物として一時的に掲示されたり、プレゼントの包装紙にされたりと、それぞれに異なる意味を持つことになります。ポスターはまるで新商品や音楽ライヴの広告、あるいは選挙キャンペーンのように、期間限定で街や個人宅に貼り出されます。1枚だけ掲示されることもあれば、壁一面を覆うように組み合わされることもあります。その1つひとつが街や人々の日常生活に溶け込んでいくことを望んでいます。

今回使用した浴衣やタイルのような連続性のある柄には、無限に繰り返すことができるという性質があります。規模の大小や多様な文脈を組み合わせるこのプロジェクトは、市民の積極的な参加があって実現するというだけでなく、アートや作品制作、公共空間の境界線をも探っているのです。

マイケル・リン 

 

[過去作品]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Locomotion 2016 Photograph courtesy of the Museum of

 Contemporary Art and Design, Manila

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Pentachrome 2022 Photograph courtesy of the Metropolitan

 Museum of Art, NewYork

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Archipelago 2021 Photograph courtesy of the Museum of

 Contemporary Art,Toronto

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『SELECT BEPPU』2階のふすま絵

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 撮影:久保貴史 ©別府現代芸術フェスティバル2009実行委員会

 

 

【関連イベント】

[ALTERNATIVE-STATE #1] マイケル・リン × 島袋道浩 トークイベント

マイケル・リンの新作完成を記念してトークイベントを開催します。ホストには、リンと長年にわたる交流があり大分県とも縁の深い、アーティストの島袋道浩を迎えます。両者の「生活や日常のなかに作品のテーマやモチーフを見出す」という共通点や美術館の枠を超えた活動のあり方を切り口に、今回の新作や近年の活動について対話します。


登壇者:マイケル・リン ([ALTERNATIVE-STATE #1] 招聘アーティスト)、島袋道浩 (アーティスト)
日時:2023年3月25日(土) 13:30~15:00 (13:00開場)
会場:ブルーバード会館3階フレックスホール (別府市北浜1-2-12)
料金:無料
定員:150名 (要予約、先着順)
予約方法:3月1日(水) 10:00より予約受付を開始します。予約フォームまたは電話でお申し込みください。
予約フォーム:https://pro.form-mailer.jp/fms/4acbae79279173 ※3月1日(水) 10:00よりアクセスできます

 

[イベント登壇者]

 

島袋道浩(しまぶく みちひろ)/アーティスト

1969年神戸市出身。那覇市在住。1990年代初頭より世界中の多くの場所を旅し、その場所やそこに生きる人々の生活や文化、新しいコミュニケーションのあり方に関するインスタレーション作品や彫刻、写真、ビデオ作品、パフォーマンスなどを制作。詩的でユーモアに溢れると同時に社会や人々を啓発する作風は世界的な評価を得ている。世界各地の美術館やアートセンター、ギャラリーなどで個展を開催すると同時に企画展にも多数参加。代表的なものにヴェニス・ビエンナーレ(2003・2017)、サンパウロ・ビエンナーレ(2006)などがある。作品はパリのポンピドー・センターやロンドンのテートモダン、モナコの新国立美術館、クンストハーレ・ベルン、香港のM+、国立国際美術館、東京都現代美術館、金沢21世紀美術館などに収蔵されている。大分県内では、別府市のホテル『ガレリア御堂原』や国東半島各所で恒久展示作品が見られる。

 

 



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