ラニ・マエストロは築100年の木造長屋、platform05に滞在し、この場で日本の伝統的な古民家がもつ独特の静けさや穏やかさに触れ、日本家屋に用いられる 材料で作品を制作することを着想しました。そこで、platform05の長屋を建てた職人に作品の一部となる木製フレームの制作を依頼し、ドローイングには障子紙を使用しました。
彼女はplatform05に滞在した感想を「建物がまるで人間のように感じられ、なにかの体内にいるような気がした」と語っていました。この場所で生まれたドローイングには、彼女の育ての母がしゃべっていたというタガログ語で詩的な言葉が綴られ、ろうそくの煤で彼女の感情の揺らめきが描かれています。
今回のトークにおいて、当時の制作経緯、そしてそれが現在の活動にどう影響し、2018年のベネチアビエンナーレ参加に至ったか。直近のアートプロジェクトの紹介と共に語っていただきました。