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オープンスタジオのようす/撮影:Tomohiro Hanada

滞在制作事業 KASHIMA 2024 BEPPU ARTIST IN RESIDENCE

業概要

アーティスト・イン・レジデンス『KASHIMA』は、2008年より継続的に実施し、これまでに18カ国・地域より50組を超えるアーティストを招聘してきました。近年は作品を完成させることよりも、滞在中に育む関係性や、知見・体験こそが大切であるという考えから、制作現場を公開するオープンスタジオを実施しています。別府での滞在が、アーティストにとってこれからの長いキャリアにおける重要な契機となることを願い開催しています。
今年度の『KASHIMA』では、都市や自然の変化をテーマに制作するマオ・ソヴァンチャンディ、「風景」を主な題材に即興的な絵画を制作する手嶋勇気、異分野とのコラボレーションによって地域や社会における多様性を見出すファンディ・リザルディの3名を招聘しました。日頃から自身が拠点とする土地に鋭い視点を向ける3名のアーティストが、それぞれ約60日間の滞在で別府を独自の視点で捉え、制作活動をおこないました。
また、滞在期間中にはオープンスタジオのほかワークショップや、国内各地でAIRを実践するゲストを迎えたトークイベントも開催しました。

開催期間2024年10月23日(水)~12月21日(土)
スタジオBEP.Lab (別府市北浜1-2-28 草本ビル2階・3階)
招聘アーティストマオ・ソヴァンチャンディ、手嶋勇気、ファンディ・リザルディ
主催NPO法人 BEPPU PROJECT
助成令和6年度 文化庁 アーティスト・イン・レジデンス型地域協働支援事業

招聘アーティスト

マオ・ソヴァンチャンディ Mao Sovanchandy (カンボジア/Cambodia)

滞在期間:2024年10月23日(水)~12月21日(金)〈60日間〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1998年カンボジア生まれ。プノンペンを拠点に活動。建築家、写真家、アーティストとして活動する。内省や自身の経験を通じて、社会の構造や規範を探求する作品を制作する。急速に発展するプノンペンの建築、歴史、文化的価値に満ちた環境から作品の発想を得ている。近年はアートと自然の関係性に関心を持ち、鑑賞者とのインタラクティブな場を創出する作品も制作している。アートや想像力が多くの人々に思考を促し、異なる視点から物事を再考する力を持つと信じて活動している。

Web: https://ccva.art/artists/mao-sovanchandy

 

手嶋勇気 Tejima Yuki (日本/Japan)

滞在期間:2024年10月26日(土)~12月21日(金)〈57日間〉

 

1989年北海道生まれ。画家。写実絵画の技法研究と制作を経て、即興的でドローイングのような絵画を制作する。現在は土地の歴史的な文脈や文化的な文脈に自身が接続される試みとして「風景」を主な題材として描く。主な展覧会に『ハイライト+リレーションズ[ゲストアーティスト:手嶋勇気]』(広島市現代美術館、2024年)、『VOCA展 2022 現代美術の展望─新しい平面の作家たち』(上野の森美術館、2022年)、『個展:ひろしまスケッチ vol.2』(EUREKA、福岡、2022年) など。ディレクションに『原民喜 -かすかにうずく星-』(ギャラリー交差611、広島、2018年)。『sanwacompany Art Award / Art in The House 2021』グランプリ受賞。

Web: https://www.tejimayuki.com

 

ファンディ・リザルディ Vandy Rizaldi (インドネシア/Indonesia)

滞在期間:2024年11月1日(金)~12月20日(金)〈50日間〉

 

1990年インドネシア生まれ。ジョグジャカルタを拠点に活動。サウンド、写真、映像、ダンスなど多様な表現を用いた表現活動をおこなう。異なる分野との共同を通じ多様性を見出す作品は、即興性やユーモアが重要な役割を果たす。何気ない瞬間や、人々の寛容さから発想を得て、周囲の小さな変化に深く耳を傾け作品を制作。アートコレクティブ『MES 56』や『Yayasan Tonjo Foundation』のメンバーとして『ドクメンタ15』(ドイツ・カッセル、2022年) に参加。また音響生態学を推進するプロジェクト『Radio Isolasido』にも携わる。数々のプロジェクトを企画するとともに、『Indonesia’s National Culture Week』や『Jakarta International Photo Festival』などで作品を発表。『Photobook Dummy Award』受賞。

Web: https://about.me/vndrizaldi

 

■関連イベント

オープンスタジオ

アーティストの制作現場を公開するオープンスタジオを開催。

日 時:2024年12月13日(金)〜15日(日) 13:00〜17:00
会 場:BEP.Lab (別府市北浜1-2-28 草本ビル2階・3階)
料 金:無料、予約不要

 

スタジオツアー

アーティストと本企画担当者が、各スタジオを案内した。

日 時:2024年12月14日(土)、15日(日) 15:00〜16:00
会 場:BEP.Lab 

トークイベント AIRの可能性〜時間と場を共にすること〜

国内各地でアーティスト・イン・レジデンス (AIR) が実施されていますが、アーティストの選定方法や滞在期間、支援内容など、そのやり方は多様です。普段は別の土地で生活・活動しているアーティストと一時的とはいえある時間と場を共にすることは、社会やわたしたち、そしてアーティスト自身にどのようなことをもたらすのでしょうか。別府の状況も踏まえながら、ゲストはもちろん、会場にお越しいただいたみなさんともAIRの可能性を探るトークイベントを開催しました。

TALK1

信州アーツカウンシルの野村政之さんをゲストに迎え開催。野村さんの実践をもとに、地域のなかでAIRが持ち得る役割について考えた。
ゲスト:野村政之 (信州アーツカウンシル コーディネーター)
進 行:家入健生 (BEPPU PROJECT ディレクター)

日 時:2024年12月1日(日) 15:00〜16:30
会 場:BEPPU STUDIO 01 (別府市楠町14-2 財前ビル1階)
料 金:無料

野村政之 (信州アーツカウンシル ゼネラルコーディネーター)
1978年長野県生まれ。舞台芸術の企画・制作やドラマトゥルクとして創作現場に、コーディネーターなどとして公的芸術文化支援に並行して携わる。長野県内の公共ホール、東京の小劇場での活動、アーツカウンシル東京アーツアカデミー調査員、沖縄アーツカウンシルプログラムオフィサー、長野県県民文化部文化政策課文化振興コーディネーターなどを経て、2022年4月より現職。(一社) 全国小劇場ネットワーク代表理事、NPO法人舞台芸術制作者オープンネットワーク (ON-PAM) 理事。

TALK2

国内外で活躍するキュレーターの服部浩之さんをゲストに迎え開催。これまで服部さんが携わってきたAIRや展覧会を紹介してもらい、別府での取組も踏まえ、「協働/共同性」や「柔軟性」を糸口にAIRの可能性を考えた。
ゲスト:服部浩之 (キュレーター|東京藝術大学大学院 准教授、国際芸術センター青森 館長)
進 行:家入健生 (BEPPU PROJECT ディレクター)

日 時:2024年12月14日(土) 17:30〜19:00
会 場:不老泉 2階 集会室 (別府市中央町7-16)
料 金:無料

服部浩之 (キュレーター|東京藝術大学大学院 准教授、国際芸術センター青森 館長)
早稲田大学大学院修了 (建築学)。国際芸術センター青森などで約10年間アーティスト・イン・レジデンスに従事。フリーランスを経て、秋田公立美術大学などで芸術教育に携わる。公共性・コモンズ・横断性をキーワードにさまざまな表現者との協働を軸にしたプロジェクトを展開。近年の活動に第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示『Cosmo-Eggs|宇宙の卵』(2019年)、『200年をたがやす』(2021年、秋田市文化創造館)、アートサイト名古屋城『想像の復元』(2023年) など。

ワークショップ『Would you like 風景画? in Beppu 手嶋勇気共同公開制作』

招聘アーティストの手嶋勇気と一緒に大きな絵を描くワークショップを開催した。
日 時:11月29日(金)、11月30日(土)、12月6日(金)、12月7日(土)
    各日とも 13:00〜17:00
会 場:BEP.Lab

■アーカイブ

滞在中の活動の記録や、オープンスタジオなどの各種イベントのようす、トークイベントゲストの寄稿などを掲載したアーカイブを制作した。

アーカイブはこちら