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アーティスト学校派遣 小川智彦さん「針穴カメラで覗く不思議な世界」

BEPPU PROJECTは今年度「次代を担う子どもの文化芸術体験事業(派遣事業)」として、大分県内の小中学校40校に美術、音楽、ダンスなどさまざまな分野のアーティストを派遣し、子どもたちにいつもと違う授業を体験してもらうワークショップを実施しています。10月初旬から中旬は、ランドスケープアーティスト・小川智彦さんと一緒に大分県内の小学校を訪れました。

タイトルは「針穴カメラで覗く不思議な世界」。"わたしたちが暮らす世界を、新たな目で見てみること"をテーマに、ピンホール(針穴)カメラを作ります。

自己紹介で「ランドスケープアーティスト」と聞いてもいまいちピンと来ない子どもたち。

小川さんは「僕はつまり、風景の芸術家です。風景を題材にするから、写真を用いた作品も多い。だから今日はみんなと一緒にカメラを作りたかったんです」と話します。

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10月3日 由布市立阿南小学校>

小川さん「実はすでにひとつ、大きなカメラを作っておきました」

子どもたち「えー!」

そして黒色のカーテンを閉め、教室の電気を消すと......。

ふだん見ている校舎窓の外の風景がスクリーンに映し出されました! 子どもたちは歓声をあげます。でもどこかいつもと違う......?

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1016日 大分市立竹中小学校>

外からの光がひとつの穴を通り、上下左右が逆さまになっているのです。青空が海のように映り、行き交う車や手を振る先生たちが宙ぶらりんで登場してくると、もう大はしゃぎ。

今日は、これと同じしくみの小さいバーションをひとりひとつずつ作ります。子どもたちが自宅から持ってきた箱や筒を使って、ピンホールカメラ作りが始まりました。

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 10月9日 佐伯市立下堅田小学校>

 

箱や筒の一面の中央に穴を開けて、それより小さな穴の開いた黒アルミ紙を、セロハンテープを使って重ねます。

できた穴の向かい側に、トレーシングペーパーを液体のりで貼り合わせると、スクリーンができて完成!

たった2段階の作業なのですが、ひとりひとりの箱や筒の形状が違うぶん、さまざまな工夫が必要でした。おそるおそるカッターを使ったり、光が入らないように黒いテープで筒を覆ったり。みんなで協力しあいながら完成をめざすのもワークショップの醍醐味です。

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1016日 大分市立竹中小学校>


 のりが乾くまでの待ち時間、小川さんがカメラの原理を説明します。

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1015日 大分市立舞鶴小学校>

世の中のカメラも、基本は今作っているピンホールカメラとしくみが同じ。さらに、顔からゴロンと取り出してみた眼球のしくみと同じだと話を広げると、思わず教室中から悲鳴が......(笑)。

説明を聞いているあいだ、子どもたちの数だけ穴の開いた窓(段ボールに穴を開けて窓に取り付けました)に、ひとりずつ作ったカメラが貼り付けられてゆきます。 

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10月9日 佐伯市立下堅田小学校>

スクリーンに風景を映すには、太陽の光が大事なんですね。

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10月3日 由布市立阿南小学校>

みんなが持ってきた箱や筒は、それぞれ大きさも厚みも形もばらばらです。 小川さんはそれと同じように、自分たちがこの教室から見ている風景は、この教室にいる人数ぶん見えている世界が違うんだと話します。

みんなの制作したカメラが壁一面に並びます。

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1015日 大分市立舞鶴小学校>

自分のも、友達のも、全体の風景も。

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<1011日 日田市立咸宜小学校> 

ワークショップ後は、小川さんが今まで発表してきた作品の鑑賞タイム。

大分県の海や山そのものを用いた作品や、加えてスコットランドから届いた絵はがきを組み合わせた作品。高崎山や津久見、安心院など、ところどころで知っている地名が出てきたこともあり、子どもたちは興味津々です。

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 <1011日 日田市立咸宜小学校>

いつも見ている風景でもちょっとした仕掛けで新しい世界が生まれてゆく。小川さんの拠点、札幌で作った雪の枯山水の作品にも、子どもたちから「きれいだな」「不思議だな」の声があふれます。

小川さん「僕の作品は伝えたいメッセージがあるわけじゃない。だけど、つまんないな、退屈だなと思う毎日でも、見方を変えれば見え方が変わる。そうすると少しでも生活が楽しくなるんじゃないかな」

みんなで給食を一緒に食べた後「今日のこと、忘れないからね」と3年生の女の子が手を握ってくれました。

毎日見ている風景を新鮮に見ること。もしかしたら、今日のピンホールカメラ作りとはすぐに結びつかないもしれません。しかし、これから10代を迎える子どもたちが、今日スクリーンに映った不思議な風景とその気持ちを、少しでも覚えていてくれるといいなと思います。

今回、小川智彦さんが訪れた小学校です。

参加してくれた子どもたち、ご協力いただいた先生、保護者のみなさま、本当にありがとうございました!

10月3日(木)由布市立阿南小学校

10月7日(月)臼杵市立佐志生小学校

※佐志生小学校は近くに砂浜があるので、特別に「ビーチ枯山水」というワークショップを行いました!


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107日 臼杵市立佐志生小学校>

10月9日(水)佐伯市立下堅田小学校

1011日(金)日田市立咸宜小学校

1015日(火)大分市立舞鶴小学校

1016日(水)大分市立竹中小学校

●プロフィール 小川智彦 / ogawa tomohiko

1971年 旭川市生まれ。札幌市在住。

どのように風景を見たり捉えられるのかということを主題に、スタイルと場所を選ばず作品の制作・発表、ワークショップを行う。http://ogawa-tomohiko.com

(BEPPU PROJECT 山脇)


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